【7月14日 People’s Daily】管轄区域は30万4000平方キロ。平均標高は4500メートル以上。常住人口は12万人余り。チベット自治区(Tibet Autonomous Region)のガリ地区は中国西南部の辺境にある。行政公署の所在地である獅泉河鎮(Shiquanhe)は比較的近くにある都市、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のホータン(Hotan)とは1300キロ余り、チベットのラサ(Lhasa)とは1400キロ余り離れている。北京とは5100キロだ。

「2010年以前、ガリから出るときは主として道路を利用していた。道路は新疆のホータン、チベットのシガツェ(Shigatse)、ラサに通じていたが、どれも遠いし、道も悪かった。獅泉河鎮からラサまでだと、少なくとも40時間かかった」と語るのは、ガリ・グンサ空港(Ngari Gunsa Airport)の責任者。

 チベット西北部の航空網の欠落を補うために、2007年5月、グンサ空港の建設工事が始まった。工事関係者は建設資材の遠距離輸送など多くの困難を克服し、わずか3年余りで工事を完了させ、ガリから空路で全国各地に行けるようになった。

 2010年7月1日、エアバスA319が着陸、チベットで4番目の空港として業務を開始した。現在のところ、路線は4本あり、ラサとカシュガル(Kashgar)、ウルムチ(Urumqi)、西安(Xi’an)に乗り入れている。

 ラサまで陸路で40時間余りかかっていたのが、空路により2時間に短縮された。全国各地には1日で行けるようになった。航空輸送は速くて便利なので、ガリから遠出をする人々が増え、ガリを訪れる観光客も多くなった。

 グンサ空港の責任者は「グンサ空港の開設は、長期にわたったガリの経済・社会の封鎖状況を打破し、社会の活力をかき立てた。ヒトやモノの流れが増加するにつれ、経済・社会の発展の様相も変化した」と述べた。

 航空はガリの経済発展で大きな役割を果たした。企業誘致や資金導入も進めやすくなった。レベルの高い観光資源にも人々が接しやすくなった。行政公署のデータによれば、空港が開設されたあと、訪れた観光客は2010年の6万1300人から2019年には109万9000人へと年平均38%増えた。この9年間に観光収入は6000万元(約9億円)から13億7400万元(約210億円)に増えた。年間増加率は42%。域内総生産は18億5000万元(約280億円)から62億400万元(約360億円)へ。年間増加率は14%だった。

 住民の生活も一変した。他の地域の物資も円滑に流入するようになった。新鮮な野菜や果物、魚貝類も食卓に上るようになり、人々が仕事に就いたり、学校に通ったり、医者にかかったりするのも容易になった。(c)People's Daily/AFPBB News