【7月14日 AFP】カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は13日、自身の家族が多額の講演料を受け取っている慈善団体と政府の契約交渉に自身が参加したことをめぐり会見し、謝罪した。

 カナダ政府は新型コロナウイルスの流行下、さまざまなNGOでボランティア活動をする若者に助成金を支給する9億カナダ・ドル(約710億円)規模の政府プログラムを実施。このプログラムについて現在、野党は調査を要求している。

 プログラムの第三者管理機関として政府が契約したのは、「ウィー・チャリティー(WE Charity)」というトルドー氏の家族が活動している若者支援NGOで、同NGOは、トルドー氏の母、妻、きょうだいと講演契約を結び、講演料として計30万カナダ・ドル(約2400万円)近くを支払っていることを認めている。またこのプログラムからは撤退する方針をすでに明らかにしている。

 トルドー氏は会見で、契約をめぐる政府とウィー・チャリティーの交渉に自ら参加したことを認め、「家族の活動歴を考慮し、直ちに交渉から身を引かなかったことは誤りだった。心から謝罪する」と述べた。また母親のマーガレットさんが同NGOで活動していたことは認識していたが、詳細は知らなかったと述べ、「母がさまざまな団体からどの程度の支払いを受けているのか詳しく知らなかったが、知っているべきだったと深く後悔している」と語った。

 さらにトルドー氏は「自らに対し、非常に失望している」「われわれがやろうとしたこと、私がすべきだったことに対し、カナダ国民の判断を仰ぎたい」と述べた。

 この件についてすでにカナダの倫理委員会は調査を開始している。トルドー氏が倫理規定違反の調査対象となるのは、2017年に富豪の慈善家が所有する島でクリスマス休暇を過ごした件、および建設大手SNCラバラン(SNC-Lavalin)の贈賄事件をめぐる昨年の司法介入に続き、今回で3度目となる。過去2つの調査では、倫理委員会がトルドー氏の利益相反行為を認めている。

 カナダの野党・保守党は12日、今回の件について下院財政委員会でトルドー氏の宣誓供述を要求していく方針を示した。(c)AFP