【7月14日 AFP】アルゼンチンの漁船で出航前に行われた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査では、乗組員全員が陰性だったにもかかわらず、35日間海上にいる間に57人が感染したことが判明し、当局が感染経路の解明を試みている。

 同国南部ティエラデルフエゴ(Tierra del Fuego)州保健局の13日の発表によると、漁船「エチゼンマル(Echizen Maru)」は出航前、乗組員全員が義務として14日間、ウスアイア(Ushuaia)のホテルで隔離生活を送り、新型ウイルスの検査結果はそろって陰性だった。

 ところが最近になって数人に典型的なCOVID-19の症状がみられたため、ウスアイアに帰港。新たな検査で乗組員計61人のうち、57人に感染が確認され、2人が入院しているという。

 同州の緊急対策委員会によると残る4人は、2人が陰性と判明、他の2人は検査結果を待っている。

 同州保健局長のアレハンドロ・アルファロ(Alejandra Alfaro)氏は「洋上に35日間いた中でどうやって感染したのか、確証をつかむのは難しい。陸地との接触は全く無く、物資もウスアイアから積み込まれたものだけだった」と述べた。保健局では、感染状況を時系列で追うために、乗組員の症状の経過を調べているという。

 アルゼンチンでは12日時点で新型コロナウイルスの感染者が10万人を超え、死者は1859人に上っている。感染の大半は首都ブエノスアイレスで起きている。(c)AFP