【7月14日 People’s Daily】中国四川省(Sichuan)の衛星発射センターから6月下旬、衛星利用測位システム「北斗(Beidou)3号」で最後となる55基目の衛星が打ち上げられ、計画より半年早く完成した。北斗システムは、市民が日々利用するスマートフォンから新型コロナウイルス対策まで、既に多くの分野で活用されている。今後は新世代の「データ経済」の発展に寄与していく。

 北斗システムの重要電子部品は国産化率100%を達成しており、中国が自主開発を進めてきた最新技術の象徴といえる。最新技術とは、汎用(はんよう)性があり、社会や経済に広くメリットを与えてこそ最新技術と言える。最近、最も北斗システムの名を知らしめたのは、新型コロナウイルス感染症との闘いだった。

 感染症が最も深刻だった湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)に専用病棟の火神山病院を突貫工事で建設する際、北斗システムの高精度測位により工事現場の測量が一度に完了した。現地ですぐさま工事を開始することができ、わずか10日間で大規模病院を完成させることに大いに貢献した。また、湖北省の各地で北斗システムを利用したドローンが医療物資の搬送を担った。正確な測位や時間管理がなせる技だった。

 近年は災害が各地で多発し、リアルタイムの観測や発生前の早期警報、発生後の被害測定は重要となっている。7万余隻の漁船や650万台の営業車両の安全確保にも役立っている。中国で使われるスマートフォンのサービスやアプリの70%以上で、北斗システムが使われている。

 新型コロナウイルスの襲来は、期せずして「データ経済」の歩みを加速させることにつながった。産業データや個人データなどあらゆるデータを積極活用するデータ経済の発展には、正確な衛星測位システムが必須だ。第5世代移動通信システム(5G)や、各種のコンピューターやデータ通信装置などを統合する「データセンター」などの「新型インフラ」は北斗システムと切り離せない。北斗3号の総設計士・陳忠貴(Chen Zhonggui)氏は「北斗システムは新型インフラにおいて基本中の基本であり、要の存在となる」と強調する。工業インターネット網の構築、コネクテッドカー、自動運転、自動駐車システムなどの新技術を北斗システムが加速・発展させる。

 現在、世界の半数以上の国々が北斗システムを採用している。北斗は今後も宇宙空間から、世界各地の人々の暮らしを便利に、豊かにするため貢献していく。(c)People's Daily/AFPBB News