【7月14日 AFP】ドイツ・ブンデスリーガ1部のバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)で主将を務めるGKマヌエル・ノイアー(Manuel Neuer)が、クロアチアでの休暇中に同国の右翼的愛国主義に関連した歌を合唱している動画の存在が明らかになった。

 2016年からドイツ代表の主将を務めている34歳のノイアーは、アドリア海(Adriatic Sea)に面したクロアチア・ダルマチア(Dalmatia)地方のビーチで、数人のグループと一緒にクロアチア人歌手のマルコ・ペルコビッチ(Marko Perkovic)の楽曲「Lijepa li si(君は美しい)」を熱唱している姿が動画で確認された。

 ペルコビッチは親ナチス(Nazi)政権下にあった第2次世界大戦(World War II)中のクロアチアに共感しており、1990年代初頭のクロアチア独立紛争で自身が所持していた武器のブランド名にちなみ、「トンプソン(Thompson)」というニックネームで呼ばれている。

 問題の歌は愛国主義的なナンバーで、「ヘルツェグ・ボスナ・クロアチア人共和国」についての引用がなされている。この小国は、1990年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時にザグレブ(Zagreb)側が支援し、クロアチアとの事実上の併合を望んでいたクロアチア系ボスニア人が一方的に宣言したものだった。

 友人やバイエルンのGKコーチである39歳のトニ・タパロビッチ(Toni Tapalovic)氏とともに同国沿岸で休暇を過ごしているノイアーは、動画に関してコメントを出していないものの、個人マネジャーは独紙ビルト(Bild)に対して、同選手はクロアチア語を話さないと強調した。

 バイエルンの広報担当者は、AFPの取材にコメントしなかった。また、ノイアーのマネジャーもコメントに応じなかった。

 独週刊誌フォークス(Focus)はノイアーについて、問題の動画がメディアで明るみに出ることはないだろうと「甘く考えていた」とする一方で、「この歌でノイアーがクロアチアの愛国主義を支持していると推測するのは、少々行き過ぎである」との見解を示した。(c)AFP