【7月14日 AFP】男子テニス、世界ランク3位のドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)は13日、テニス選手は「不運」に見舞われたアドリア・ツアー(Adria Tour)から「教訓を得る必要がある」と話す一方で、同大会に出場した選手に対するニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)の批判は「不要」との認識を示した。

 先月バルカン半島で行われたノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)主催のアドリア・ツアーは、出場選手が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性反応を示すという不幸な結末に終わった。

 セルビア・ベオグラードで同大会に臨んだティエムは、独ベルリンで開催されるエキシビション大会を控えた会見で、「僕らはこの過ちから教訓を得て、現在直面しているパンデミック(世界的な大流行)を警戒していく必要がある。それがアドリア・ツアーから学ぶべきことだ」とコメントした。

 アドリア・ツアーでは世界1位のジョコビッチをはじめ、グリゴール・ディミトロフ(Grigor Dimitrov、ブルガリア)、ボルナ・チョリッチ(Borna Coric、クロアチア)、ヴィクトル・トロイキ(Viktor Troicki、セルビア)が新型コロナウイルスの検査で陽性が判明。ジョコビッチは後日、大会で選手たちがネット越しにハグをしたり、ナイトクラブで一緒にパーティーに参加したりしたことを謝罪した。

 検査では陰性だったものの、他の選手と同様に批判を浴びて先日謝罪したティエムは、「ノバクと他の選手は何か罪を犯したわけじゃない、それは踏まえておく必要がある」とすると、「僕らは全員過ちを犯したのだから、批判を受けても不公平とは言えない」「だけど、高過ぎる代償を支払った。善かれと思って行った大会だったのに」と語った。

 一方のキリオスは、アドリア・ツアーに参加した選手たちに厳しい批判を浴びせ、ほとんど感染防止対策が行われていない中で大会を開催したのは「大ちょんぼな判断」だったとし、同ツアーに出場した後の検査で陰性だったアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev、ドイツ)が、自主隔離に入ると約束しながらもパーティーに参加していたことについても、「自分勝手」と批判していた。

 キリオスとズベレフはいずれも、13日に開幕する今回のエキシビション大会を棄権した。大会主催者は厳しい衛生ガイドラインを敷いており、「ここでパーティーを開く選手は誰もいないだろう」と述べた。

 前週にズベレフの振る舞いについてキリオスと舌戦を繰り広げていたティエムは、「この話題は終わりだ。サーシャ(Sascha、ズベレフの愛称)には事情があったから来ないんだ」とすると、再びキリオスへの反撃として「一部の意見、特にオーストラリアからのものはまったく不要だ」と主張した。(c)AFP