【7月11日 AFP】米データ会社インターシオン(Interxion)は10日、ナチス・ドイツ(Nazi)が第2次世界大戦(World War II)中に使用していた、仏マルセイユ(Marseille)の旧潜水艦基地に欧州のデータハブとなるデータセンターを開設した。

 データセンターとなった堂々としたコンクリート製の建築物は、フランスを占領していたナチスが潜水艦Uボート(U-boat)を常時約30隻収容し、地中海での戦いにおける重要な港としての役割を担うべく建造された。

 1943年5月に建設が開始されたものの、連合軍がフランスに進撃して戦争の潮目が変わってきたため、この基地は1944年8月に放棄された。戦後、この建物は一時的に米軍の刑務所として使用され、その後は使用されないまま放置された一方、敷地の一部はマルセイユの港湾当局が時折使用していたとされている。

 インターシオン・フランスのファブリス・コキオ(Fabrice Coquio)社長は、「補強された厚さ5.5メートルの屋根により、10トン爆弾にも耐え得る不死身の基地だ」と説明。基地内でスタッフは、壁のかぎ十字や爆撃による損傷など、そこかしこにドイツ人が居た痕跡を発見したという。

 コキオ氏は、データハブとしてのマルセイユの利点について、アジアやアフリカへの接続費用が安くつくと述べた。

 インターシオンによると、「MRS3」と呼ばれるこのデータセンターは、重要なITシステムに安定したインフラを提供し、14本の海底ケーブルでアフリカ、中東、アジアに直接アクセスできる。同社は、マルセイユにこの5年で3億ユーロ(約360億円)以上投資している。(c)AFP