【7月11日 AFP】世界食糧計画(WFP)は10日、イエメンで1000万人近くが深刻な食糧不足に陥っており、飢饉(ききん)を防ぐために緊急対策を講じる必要があると明らかにした。

 WFPによると、イエメンでの援助計画を維持するには、今年末までに7億3700万ドル(約790億円)が必要とされる。国連(UN)は、内戦の影響で荒廃した同国は世界最悪の人道危機に直面していると指摘している。

 WFPのエリザベス・バース(Elisabeth Byrs)報道官はスイス・ジュネーブで行われたオンライン会見で、「人道的状況が異常な速さで悪化し、人々を限界まで追い込んでいる」「今すぐ行動しなければならない。人々がすでに死にかけている中で、飢饉を宣言するまで待てば手遅れになる」と主張。

「イエメンは、さまざまな面で危機に面している。輸入量は減少し、食糧価格は高騰。イエメン通貨リアルは急落し、外貨準備高は完全な枯渇状態にまで近付いている」と述べた。

 バース氏によると、イエメンでは2000万人以上が食糧不足に陥っており、うち1300万人が人道的な食糧援助を受けている。一方で、子ども200万人と、妊娠中や授乳中の女性100万人が急性栄養失調の治療を必要としているという。また、新型コロナウイルスも猛威を振るっている。

 6月には国連とサウジアラビアの共催でイエメンへの援助資金に関する会合が開かれたが、拠出される支援額は必要とされていた24億1000万ドル(約2580億円)のうち半分ほどにとどまった。(c)AFP