【7月11日 AFP】テニスのウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2020)は10日、新型コロナウイルスの影響で中止された今年の大会に出場するはずだった選手620人に対して、総額1000万ポンド(約13億5000万円)の賞金を支払うと発表した。これには選手から、「一流の対応」と称賛の声が上がった。

 大会主催者のオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)は、世界ランキングを基にシングルスで予選から出場するとみられていた選手224人に各1万2500ポンド(約168万5000円)、本戦からの出場が見込まれていた選手に各2万5000ポンド(約337万円)が支給されると公表した。

 一方、ダブルスの選手には各6250ポンド(約84万2500円)、車いすの選手には各6000ポンド(約81万円)、車いすクアード部門の選手には各5000ポンド(約67万円)が与えられるという。また、大会関係者や国際審判にも報酬が支払われることになっている。

 これを受けて、女子の元世界ランク1位で四大大会(グランドスラム)で通算4度の優勝を誇るキム・クライシュテルス(Kim Clijsters、ベルギー)は、「素晴らしいニュース。いつも一流の対応で、テニス界のリーダー的存在。よくぞやってくれました、ウィンブルドン。来年の出場が待ちきれない」とツイートした。

 本来なら今週末には決勝が行われていたはずだったウィンブルドンは4月、新型コロナウイルスの危機で第2次世界大戦(World War II)後では初めて中止された。

 AELTCのリチャード・ルイス(Richard Lewis)最高経営責任者(CEO)は、「この先の見えない数か月間、選手たちが大きな不安を抱えていたのは承知している。選手たちの多くはこの期間に経済的困難に直面しており、その中には世界ランキングを基準にウィンブルドンで賞金を稼ぐ機会を得ていた選手もいたはずだ」と述べた。

「保険によって、大会中止による選手たちへの影響を把握し、賞金を支払う体制が整ったことを喜ばしく思っている。これは、必死に努力してランキングポイントを積み重ね、2020年大会の出場権を得られていたはずの選手たちに報いるものだ」

 また同日には、男子シングルスのシード順が来年から世界ランクのみをベースに決められることが発表された。ウィンブルドンは約20年にわたり、グラス(芝)コートでの成績を基準にシード順を決めていたが、複数の選手グループと協議した末に今回の決定を下したという。女子シングルスのシード決定方法に変更はない。(c)AFP