【7月10日 AFP】アングリカン・コミュニオン(Anglican Communion、全世界聖公会)の最高指導者で、英国国教会トップのジャスティン・ウェルビー(Justin Welby)カンタベリー大主教(Archbishop of Canterbury)は9日、教会と奴隷制の関係を念頭に、信者たちに国教会の良い歴史も負の歴史もすべて認めるよう呼び掛け、良い未来を築こうとするならば厄介な歴史の「重荷」に向き合わなければならないと述べた。

 ウェルビー師の発言は、オンラインで開催されたスティーブン・コットレル(Stephen Cottrell)主教の第98代ヨーク大主教(Archbishop of York)就任式で出たもの。

 ローマ・カトリック教会を離脱したヘンリー8世(Henry VIII)が1534年に創設した英国国教会は、先月、奴隷制と関連する教会の歴史を「恥の源」と呼び、謝罪を表明していた。

 ウェルビー師は「キリスト教徒として生きるには、世界中のキリスト教徒の共同体の中で生きるだけでなく、教会の歴史とも共にあることが必要とされる」「英国国教会には聖人も奴隷商人もおり、誇り高い人、高位聖職者のほか、人々に謙虚に仕える者もいた」と述べ、「彼らはすべて教会の一部であり、改革され、悔やまれ、見習うべき遺産である」と指摘した。(c)AFP/Oli SCARFF