【7月10日 AFP】仏パリの検察当局は9日、科学研究のため献体された遺体が放置されて腐敗し、ネズミに食べられているとの報道を受け、予審判事が捜査を始めたと発表した。

 昨年11月に週刊誌レクスプレス(L'Express)がこのスキャンダルを報じていた。初期の捜査を行った検事から予審判事に「遺体保全違反」についての捜査が引き継がれた。

 レクスプレス誌によると、パリ第5大学(Paris Descartes University)の献体センターで、ひどい状態になった数千人の遺体が見つかった。

 同誌は2016年に写真が撮影されたこの場所で、衣服を身に着けていない状態で切断された遺体が積み重ねられ、あちこちに散乱していたと伝えた。胴体から切り離されて床に転がっていた頭部もあり、集団墓地のようだったとしている。

 人肉の断片でいっぱいになったたくさんのごみ袋に交じり、腐敗したり、ネズミにかじられたりした遺体もあったという。

 これまでに80件近くの告発が行われていた。

 仏政府はこの献体センターの閉鎖を命じ、委員会による行政上の検査を実施。同委員会は6月、同大学は献体センターの管理で「重大な倫理違反」を犯したと発表した。

 1953年に開設された同センターはこの種の施設としては欧州最大で、閉鎖されるまでは年間数百体の献体を受け入れていた。(c)AFP