【7月8日 AFP】犯罪者が利用する暗号化チャットアプリへの欧州全体での大規模なハッキング捜査が行われ、オランダ警察は拷問部屋付きの「裏社会の刑務所」として使われていた輸送コンテナ7個を発見した。関係者が7日、明らかにした。

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 オランダ警察によると、拷問部屋には歯科医用の椅子が設置され、剪定(せんてい)ばさみやのこぎり、外科用メスやペンチなどの身の毛がよだつような道具も用意されていた。

 オランダとフランスが共同捜査を行い、暗号化チャットアプリ「EncroChat」に侵入。そこから得た情報を基に武装警察はコンテナ7個がある倉庫へ強制捜査を行い、容疑者6人を逮捕した。

 オランダ警察の国家刑事捜査部長を務めるアンディ・クラーハ(Andy Kraag)氏は、「(コンテナ)6個は監房で、そこで人々が縛り付けられていたとみられ、残り1個は拷問部屋としてのみ使われていた」と説明した。

 倉庫があったのは、ロッテルダム(Rotterdam)南方に位置する都市ベルヘンオプゾーム(Bergen op Zoom)近郊。警察が提供した映像には、武装警官らが敷地内に急襲する様子が捉えられている。

 コンテナには防音装置が施されており、内部はスズ箔(はく)で覆われていた。警察はこれに関し、熱探知カメラで内部が見えないようにするためだったとみている。すべてのコンテナには、床と天井に手錠が備え付けられていた。

 警察によると、コンテナに入れる人々の拉致は「非常に精密に」計画され、複数のチームが関与した他、武器や偽の警察制服、ワゴン車数台、一時停止の道路標識、防弾ベストなどが用意されていた。

 また、盗聴した会話の中で犯罪者らが「処置室」と呼んでいたコンテナには、「肘掛けと足置きの部分にひもが付けられた歯科医用の椅子」が備えられていたという。

 警察は、剪定ばさみや刈り込みばさみ、のこぎりや外科用メス、ペンチ、手錠、指錠、マスキングテープを押収。これらについて、「被害者の拷問、あるいは被害者を追い詰めるために」使われたとみている。

 映像はオランダ警察が6月22日撮影・提供。7月8日入手。(c)AFP