【7月8日 AFP】人気観光地であるカンボジアの北部シエムレアプ(Siem Reap)州が7日、犬肉の取引を禁止すると発表した。動物愛護団体は同州についてこれまで、毎年数百万匹の犬を食肉処理する犬肉産業の「中枢」だと非難してきた。

 犬肉は安価なたんぱく源として、カンボジアなどの複数のアジア諸国で食されており、カンボジアの隣国ベトナムではさらに広く消費されている。

 動物愛護団体「フォー・ポーズ(Four Paws)」は、有名なアンコールワット遺跡(Angkor Wat)があるシエムレアプ州が同国内の犬肉取引の中心地になっていると指摘。同団体によると、カンボジアでは毎年300万匹の犬が食肉処理されている。

 シエムレアプ州当局は7日遅くに犬肉取引の禁止を発表。同州の農業局は、犬肉取引が近年「無秩序」状態に陥っており、「それが狂犬病などの感染を別の地域へと次から次に広げ、公衆衛生に影響を及ぼしている」と指摘。「犬の捕獲、売買、食肉処理は今後厳しく罰せられる」とした。

 食肉用に犬を処理した場合は最大で禁錮5年、罰金700万~5000万リエル(約18万~130万円)が科される。

 カンボジアでは警察の怠慢が長年問題となっているため、この禁止規制がどの程度実施されるかは現時点では不明だ。

 それでもフォー・ポーズは8日、シエムレアプ州が「カンボジアの犬肉取引の中枢」から外れる今回の禁止決定を歓迎した。

 同団体が昨年実施した調査によると、シエムレアプ州は犬肉取引の玄関口となっており、犬の捕獲者が辺りをうろつき、捕まえた犬を市内にある20店舗以上の犬肉を扱うレストランに販売していた。(c)AFP