【7月9日 AFP】香港では、中国が導入した国家安全維持法の下で違法となる政治的見解を示した人々の逮捕が始まった。こうした中、香港の人々は異論を唱える創造的な方法を模索している。

 自治や独立を促し得るあらゆるものが突然、起訴の脅威をもたらすようになった香港では、人々が言葉遊びで欲求不満を表現している。中国共産党の教義でさえ、この動きに利用されている。

「立ち上がれ、奴隷になることを望まぬ人々よ」──ここ1年、民主化運動の要所となってきた銅鑼湾(Causeway Bay)のにぎやかなショッピング街。多くの人が行き交う橋の上には、中国国歌の冒頭から引用された落書きが登場した。

 落書きは愛国心の強い国家主義者が書いたかもしれないが、十中八九抗議の意を示すものだろう。

 同法は国家の安全を脅かす犯罪として、国家分裂、政府転覆、テロ活動、外国勢力との結託を規定している。規定内容が明らかにされると、ソーシャルメディアやチャット上には、安全な抗議方法を模索する声があふれた。

 民主活動家の陳健民(Chan Kin-man)氏は、考えを示すことに慣れている香港人たちは、法の目をくぐる道を探すだろうと語った。同氏は香港の選挙制度の民主化を求めた2014年の大規模デモ「雨傘運動(Umbrella Movement)」をめぐり、実刑判決を受けている。

 陳氏はAFPに対し「公の場では何も言わないか、『公式に認められた』言葉で身を守ることができる」と語った。「けれども、隠された言葉は法律で禁止できないものだ」 (c)AFP