【7月8日 AFP】サッカー大国ブラジルで、6年前の母国開催のW杯(2014 World Cup)で起こった1-7の衝撃的な敗戦が、慣用表現や自虐的なジョーク、さらにはインターネットミーム(インターネット上で模倣や共有を通じて広まる画像や動画)にもなっている。

 大勝の歴史や輝かしい実績に彩られてきたブラジルは、6年前のドイツ戦でサッカー史に残る大敗を喫したが、今ではその試合の屈辱的な点差自体が意味を持ち、「1-7を食らわされた」や「あれは1-7だった」が負け方や大きな痛手を物理的、あるいは象徴的に表す慣用表現になっている。

 2014年7月8日のW杯準決勝で、開催国ブラジルは国全体の期待を背負い、ベロオリゾンテ(Belo Horizonte)のミネイロン(Estadio Mineirao)にドイツを迎えた。ところがチームはW杯制覇5回を誇るブラジルの歴史で最悪の、またW杯優勝国としては最大得点差の敗戦を味わった。

 文化に組み込まれた試合の要素は点差の数字だけではない。今のブラジル人は何かが繰り返し起こると、「またドイツのゴールだ」「今度もドイツのゴールか?」といった言い方をする。

 こうした自虐的な反応や暗いユーモアは、国家のトラウマとなったもう一つの悲劇とは対照的だ。

 ブラジルは、同じく母国開催だった1950年のW杯決勝でウルグアイに1-2で敗れ、国全体が葬式ムードに包まれた。この出来事は試合会場のマラカナン・スタジアム(Maracana Stadium)にちなんで、今でも「マラカナッソ(マラカナンの悲劇)」と呼ばれている。

 しかし「ミネイロンの惨劇」に関しては、運悪く大敗の当事者となったルイス・フェリペ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督やCBダビド・ルイス(David Luiz)、中盤のフェルナンジーニョ(Fernandinho)、オスカル(Oscar dos Santos Emboaba Junior)、前線のフッキ(Hulk)やフレッジ(Fred)らをあざけるミームがいくつも作られている。(c)AFP