【7月7日 AFP】米ストックカーレースのNASCARで唯一の黒人ドライバーであるバッバ・ウォレス(Bubba Wallace)は6日、自身のガレージで輪縄が見つかった騒動をめぐりドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が謝罪を求めたことについて、「憎悪」をかき立てていると批判した。

 先月に米アラバマ州のタラデガ・スーパースピードウェイ(Talladega Superspeedway)で行われたレースの前、米南部ではリンチの象徴とされている輪縄のようなものが、ウォレスのガレージのドアにつるされているのが発見された。

 これにはNASCAR界で怒りが噴出し、ウォレスのドライバー仲間が偏見への抗議行動を示したが、連邦捜査局(FBI)の捜査では、問題の輪縄はレース日の数か月前から車庫に置いてあったものだったとして、憎悪犯罪ではなかったと結論付けられた。

 トランプ大統領はこの日、「結局またも全部でっち上げだったのに、自分を助けに来て味方になり、喜んですべてを犠牲にすると表明してくれた素晴らしいNASCARドライバーや関係者にバッバ・ウォレスは謝罪したのか?」とツイッター(Twitter)で皮肉った。

 これに対して26歳のウォレスは、「次世代」への激励メッセージを投稿すると同時に大統領を公然と非難し、ファンに対して「たとえ、それがPOTUS(米大統領のツイッターアカウント)から発信された憎悪であろうとも、日々憎しみより愛」を大切にしようと訴えた。

 輪縄が見つかったのは、ウォレスらの呼び掛けにより、保守系米国人の間で人気が高いNASCARのイベントで南軍旗の掲揚が禁止された直後のことだった。トランプ大統領はこの日のツイートで、南軍旗の撤去と輪縄騒動が「史上最低の支持率を招いた!」とも主張している。

 11月の大統領選を前に、またしても社会を分断するレトリックを使ったトランプ大統領は、米スポーツ界で先住民族を意味する球団名を見直す動きがあることについても言及した。(c)AFP