【7月6日 Xinhua News】野生のアムールトラに山林で遭遇したらどうするべきか。中国アムールトラ・アムールヒョウ国家公園管理局はこのほど、人間とアムールトラとの衝突に対処するためのコミュニティーガイドラインを発表、アムールトラとの衝突を科学的な方法で減らすよう保護員や住民への指導を行った。

 ガイドラインは、同管理局が野生生物保全協会(WCS)の専門家と数年来の野生動物保護実践経験をまとめて作成した。

 アムールトラは世界絶滅危惧種の一つで、多くがロシアの極東、中国の東北部に生息している。生息地の破壊などが原因で、野生アムールトラの個体数は20世紀に激減。統計によると、現在では世界で数百頭にすぎない。

 中国政府は2016年12月、「アムールトラ・アムールヒョウ国家公園体制試行案」を可決、東北部の吉林省(Jilin)と黒竜江省(Heilongjiang)の146万ヘクタールの土地を野生アムールトラ・アムールヒョウの生息地再建に投入することにした。

 現地政府の全面的禁猟や環境整備などの展開に伴い、近年はアムールトラとアムールヒョウの個体数は増加し、行動範囲も拡大を続けている。アムールトラと人間が遭遇する確率が高まり、対立が問題になっていた。

 吉林省琿春市(Huichun)では昨年8月、馬滴達村付近を車で通りかかった市民が路上で野生アムールトラ1頭を発見。短い間の「にらみ合い」の末、アムールトラが去った。同市では02年、営林場の作業員がアムールトラに襲われて亡くなる事件が発生している。

 同省は06年、野生動物による生命や身体、財産の損害の補償について行政法規を発表、人間とトラとの対立をある程度緩和し、現地農民の野生動物保護意識を高めた。

 統計によると、琿春市は近年、野生動物による損害への賠償金として年間300万~400万元(1元=約15円)を支払っている。アムールトラ・アムールヒョウ国家公園管理局も発足後、長期的な損害賠償体制づくりの模索に取り組んでいる。(c)Xinhua News/AFPBB News