【7月6日 AFP】イタリア中部トスカーナ(Tuscan)州アレッツォ(Arezzo)で、突然飼い主にかみつくようになった飼い猫から珍しい狂犬病類似ウイルスが検出されたとして、当局が猫の観察を強化するよう呼び掛けている。

 アレッサンドロ・ギネッリ(Alessandro Ghinelli)市長は1日に記者会見し、猫にいわゆる「リッサウイルス感染症」の恐れのある症状がみられた場合、直ちに当局に報告するよう飼い主や地域猫活動家らに要請する新条例を制定したことを発表した。

 今回検出されたのは、2002年に黒海(Black Sea)とカスピ海(Caspian Sea)に挟まれたカフカス(Caucasus)地方でコウモリから見つかったウイルスで、これまでその一例しか確認されていなかった。

 感染したのは2歳の雌猫で、感染経路は不明。先月、猫が突然攻撃的になり、家族のうち3人をかんだと飼い主から報告があったという。不安になった飼い主が動物病院へ連れて行ったところ、猫は獣医師も攻撃した。

 猫はその後、別の病院に移送されたが、そこで死んだ。この病院の専門家らは神経系の異常を疑い、パドバ(Padua)の動物保健施設に猫の脳の一部を送ったところ、そこからウイルスが検出された。この猫にかまれた人を含め、13人が抗体治療を受けた。

 新条例は8月27日までを有効期限とし、人を最近かんだり、ウイルス感染が疑われる症状を示したりした犬と猫すべてを10日間隔離しなければならないと定めている。感染疑い症状には、かみつき、まひ、気性の変化などが含まれる。

 保健当局は、死んだ猫が飼われていた家の近くの木に生息するコウモリの群れがウイルスの発生源の可能性があるとみて、現在調査している。(c)AFP