【7月6日 People’s Daily】中国西北部甘粛省(Gansu)隴南市(Longnan)は全国Eコマース貧困扶助のモデル都市で、Eコマースによって多くの農民が新しい生活を始めている。地元の農民張加成(Zhang Jiacheng)さんは毎朝、ライブストリーミングを配信してリンゴ畑の案内をする。リンゴは高値がつき、収入は大きく増えたという。

「インターネットによる貧困扶助計画」が実施されて3年以上、貧困地域のネット通信インフラが整い、特色ある農産物が世に知られ、質の良い教育や医療などが村にもたらされてきた。政府の強力な推進により、隴南市では現在1万4372のネット商店が開き、Eコマースによる経営者は3万3000人を超え、2019年にEコマースによって貧困世帯の収入は平均840元(約1万2700円)増加した。

 Eコマースの村への導入は順調に進んでおり、県と共同で設置したEコマース公共サービスセンターと物流配送センター、郷村のEコマース人材を訓練するサービス拠点などはいずれも増加している。2019年、全国でネット販売された農産物の売り上げは3975億元(約6兆430億円)に達し、2016年と比べて1.5倍に増加した。

 インターネットによる貧困扶助策の実施が深化するに伴い、貧困地区のインターネット通信インフラも整えられた。2019年10月までに、中国の地方自治体における光回線と4Gの比率は平均98%を超え、貧困地域でのブロードバンド比率は99%に達した。インターネットは特色ある農産物を世に出しただけでなく、貧困層の生活を深く変えた。

 しかし、物流には、現在、中国全国の96.6%の郷鎮に宅配サービス拠点ができたが、村まで直接届く宅配便の比率は35%にとどまっている。さらに多くの農産物を世に出すために、国家郵政局は宅配便を村まで届けるべく政策を発表している。

 インターネットによる貧困扶助には産業の水準を高めることも必要である。コロナ禍の影響を受け、湖北省(Hubei)秭帰県(Zigui)では約17万トンの熟したオレンジをちょうどよい収穫時期に摘んで売ることができず、農家とプラットフォーム企業が協力して問題解決に乗り出した。「映像で摘果・仕分けなど全工程をコントロールし、果実の大きさや糖度を計測します。異常を発見したら、すぐ検査をします」と、Eコマースサイトの関係者は語る。

 また、人材を育てるべく、山東省(Shandong)鄄城県(Juancheng)ではインフルエンサー学院を開設し、ライブストリーミングの訓練などをしている。インターネットを理解し、ネット上で物販ができる「農民インフルエンサー」を多く育成し、「オンラインのライブストリーミング+オフラインの産業」モデルによって、特色ある農産物が全国に売り出されている。(c)People's Daily/AFPBB News