【7月5日 AFP】中国政府が国家安全維持法を導入して数日を経た香港で、著名な民主派活動家らの著書が図書館から撤去され始めていることが、オンライン上の記録で明らかとなった。

 利用不可となった書籍の著者には、香港で最も有名な若者世代の活動家の一人、黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏や、著名な民主派議員の陳淑荘(Tanya Chan)氏らが含まれる。

 先月30日に施行された国家安全維持法は、香港が1997年に英国から中国に返還されて以降、半自治権を有する香港にとって最も劇的な変化となる。

 黄氏は書籍の撤去について、同法がきっかけとなったと考えていると指摘。フェイスブック(Facebook)への投稿で、政治的迫害を示す言葉を用いながら、「白色テロの拡大が続いており、国家安全維持法は根本的に、言論に罪を負わせるための道具だ」と主張した。

 公立図書館のウェブサイトでの検索では、黄氏や陳氏、香港の学者である陳雲(Chin Wan)氏らの著書少なくとも3冊が、香港各地の図書館数十か所で貸し出し不可になっている。

 AFP記者は4日午後、黄大仙(Wong Tai Sin)区の公立図書館でこれらの書籍を探したが、探し出せなかった。

 図書館を運営する香港の康楽及文化事務署(Leisure and Cultural Services Department)は、国家安全維持法に違反するかどうか判断される間、書籍が撤去されたと説明。「書籍を審査するプロセスの間は、貸し出しや参照ができなくなる」と述べた。

 同法は、国家転覆や、分離活動、テロ行為、外国勢力との共謀を取り締まり対象としている。(c)AFP