この写真は東京で撮られた。青年と、路上に横たわる人。ホームレスだろうか、感染者だろうか。日本は自粛要請から緊急事態宣言の発令などを行ってきた。しかしそれらによる外出制限の効果はあまり上がっておらず、それにも関わらず各国に比べ死亡者数を抑えられている現状には「奇妙」といった指摘もあるのは頷ける。
コロナウイルスによる影響と先行きの不透明さは日に日に心を掻き立てる。見慣れない色の土に埋葬される人もいれば、違うニュースでは先日隣にいたかもしれない人がクラスターに数えられているのも見る。場も種も時も問わないこの事態に無関心でいることなどできないはずだ。
対策が功を奏した国もあるが未だ確実な終息には遠い。このウイルスは、医療分野にとどまらずむしろ現代市民社会の在り方に病理を示したように感じる。防波堤となって戦わなければならない先進国同士でたたき合い、社会や経済のインフラなどを基づける下層の人々を見捨てている場合ではない。
世界あるいは国全体の人それぞれに事情が存在することは当然であり、包括的な救済を目指してもそこには繊細な調査と対応が必要だという難しさがあるが、一日も早く対応が広がり、終息にむけてそれが功を奏することを祈るばかりだ。
[東洋英和女学院大学 山本 晏壽]