ホームレスの人々は「stay home」するための家がない。頼りにしていた施設の閉鎖、援助の削減によって感染の確立が高い路上で暮らさざる負えない人がいる。最低限の公衆衛生が配慮されず、トイレや手洗いさえもできないのだ。社会的な混乱が起きている時期だからこそ、社会的・経済的に弱い立場にある人に対して一番に救いの手を差し伸べるべきだ。自己責任論で弱者を見捨てることは許されない。今回のコロナ危機は世界にはびこる経済格差を浮き彫りにした。新自由主義による市場原理社会の中で競争に敗れた人々は貧困のサイクルから抜け出せくなったが、このような社会はコロナのような危機的状況に対してきわめて脆弱であることが明らかになった。これを機に新自由主義を主流にした世界経済システムが見直されていくだろう。しかし今喫緊で求められていることは私たち一人一人が現代社会の声なき声に耳を傾ける努力を怠らないことである。
[明治大学 垂井 綾乃]