【7月4日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は3日、「反テロ法」に署名し、成立させた。反政府的な意見を封じ、反対派に対する新たな武器を政府に与えるとの批判が出ている。

 法律は先月に議会で承認されていた。テロリストとみなす人々を令状なしで逮捕する命令を出す評議会を、ドゥテルテ氏が設置することを可能にするもので、人権団体から批判が上がっている。

 また、逮捕状なしに容疑者を拘束できる期間を最大24日に拡大。政府は、長年続いている共産主義者とイスラム系反政府勢力との闘いに必要だと説明しているが、反対派は、拘束期間を最大3日とするフィリピン憲法に違反すると主張している。

 権利活動家らは、法律のテロの定義が不明瞭で、ドゥテルテ氏が批判勢力の抑え込みを強化する恐れがあると指摘している。何千人もの死者が出た麻薬戦争などドゥテルテ氏の政策を批判して服役したり、拘禁刑を科されたりした人もすでに存在する。

 同法はテロの定義を、死傷者を出すことや国有・私有財産の破損、または「恐怖のメッセージの拡散」あるいは政府に対する威嚇を目的とした大量破壊兵器の使用を意図することとしている。(c)AFP