【7月3日 AFP】韓国は3日、情報機関の次期トップに、過去に北朝鮮に対する約480億円の送金で実刑判決を受けた前国会議員を指名した。文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領は、核武装した北朝鮮から辛辣(しんらつ)な批判を浴びてきているが、北との関係改善を模索している。

 文大統領は、自身の安全保障担当班と、南北問題を担う統一省の人事を刷新。国家情報院(National Intelligence Service)の院長には、2000年の初の南北首脳会談の実現で重要な役割を果たした朴智元(パク・ジウォン、Park Jie-Won)氏が指名された。

 朴氏は、国会議員を4期務め、ノーベル賞(Nobel Prize)を受賞した故金大中(キム・デジュン、Kim Dae-Jung)元大統領の側近だった。

 金元大統領の「太陽政策」で果たした役割を通じて、北朝鮮に人脈を築いたことで知られている。

 しかし金元大統領と、北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の会談に先立ち、韓国の現代(ヒュンダイ、Hyundai)グループから北朝鮮に約480億円がひそかに送金された際、朴氏が重要な役割を果たしたことが後に発覚。

 この問題は金元大統領の政治的遺産に汚点を残し、朴氏は懲役3年に処された。朴氏はその後、国会議員に返り咲いて3期務めたものの、今年4月の総選挙で議席を失った。

 一方統一相には、1980年代に学生民主活動家として頭角を現し、与党「共に民主党」の院内代表に上り詰めた政界の重鎮、李仁栄(イ・イニョン、Lee In-young)氏が指名された。

 識者らは、李氏の統一相指名により、同省の対北融和姿勢がより鮮明になる可能性を指摘している。(c)AFP