【7月3日 AFP】米国内で急拡大する新型コロナウイルス感染をめぐって非難を浴びているドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は3日、コロナ対策については沈黙を守ったまま、独立記念日の花火を鑑賞するため、歴代米大統領4人の顔が岩に彫られたサウスダコタ州ラシュモア山(Mount Rushmore)を訪問する。トランプ政権下で一致団結には程遠い米国民の心情を、花火でなだめたい考えとみられる。

 トランプ氏は、ラシュモア山の花こう岩に刻まれたジョージ・ワシントン(George Washington)初代大統領、トーマス・ジェファソン(Thomas Jefferson)第3代大統領、セオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt)第26代大統領、エーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)第16代大統領の巨大な顔を背景に演説する予定。同氏は、「とても素晴らしい夜になる。ほとんどの人が見たことのない花火になる」と期待感をあらわにしている。

 イベントには約7500人の出席が見込まれるが、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の呼び掛けはない。

 共和党のクリスティ・ノーム(Kristi Noem)サウスダコタ州知事は、「心配なら家にいればいいと言っている」「参加希望の人にはマスクを無償配布する。着用するかは本人次第だ。ただ、われわれは対人距離は取らない」とFOXニュース(Fox News)に語った。

 トランプ氏はかねてラシュモア山の彫刻を称賛しており、1927~41年に彫られた4人の米大統領の横に、やがて自身の顔も並ぶと2017年に冗談を飛ばしている。

 ただ、それが実現する日は来そうにない。ラシュモア山国立記念公園の広報を担当するダナ・ソーエン(Dana Soehn)氏は、「彫刻周辺の岩は、さらに彫刻を追加するには適していない」と指摘。「この彫刻は現在の姿で完成しているというのが、国立公園管理局の見解だ」と述べた。(c)Jerome CARTILLIER