【7月3日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するハース(Haas F1 Team)のロマン・グロージャン(Romain Grosjean)は、5日に決勝が行われる今季開幕戦のオーストリアGP(Austrian Grand Prix 2020)で自身が表彰台に上がる可能性は低いものの、もしもサーキットのレッドブル・リンク(Red Bull Ring)で講じられている新型コロナウイルスの感染防止策を破ってしまったときは許してもらいたいと話している。

 フランス人ドライバーのグロージャンは、「チームスタッフの腕に飛び込みたくなるかもしれない」「100パーセント制御できなくなるようなときがあるかもしれないが、できる限り規則を守っていけるように努力する」と語った。

「5か月も会えなかったチームスタッフへのハグが許されない現実は別にして、あとのことはいつもと変わりないし、準備も通常通りに進んでいる」

 今季のF1は3月の初戦オーストラリアGP(Australian Grand Prix 2020)が新型コロナウイルスの影響でまさかの中止となり、3か月以上にわたる活動停止期間を経て、ようやく今週末にオーストリア・シュピールベルク(Spielberg)で開幕することになった。

 しかしながら、シーズンは例年とは違う様相を呈しており、今後のカレンダーでは数レースが追加される可能性はあるものの、史上最多の22レースから現時点で8レースまで短縮された。そうした中で、この日のレッドブル・リンクでは、全く新しいF1の世界が見受けられた。

 シーズンを開幕するために、F1はパドックを外の世界から隔離した上で、施設内でも安全な距離を保つシステムを構築。サーキットへの立ち入りを許された2000~3000人の関係者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陰性が確認された人に限られ、5日ごとに再検査を受けることや、検温などいくつかのチェック項目をパスしなければならない。

 パドックでは人との間隔を2メートルに保ち、一方通行で行き来することが義務付けられている。また、人と接触したり行動したりする際には、マスクも着用することになっている。

 一方、20人前後の報道陣は、サーキットが一望できるメディアセンター内にとどまり、そこから3階下で行われているオンライン会見を取材することになっている。2日に開かれた記者会見では、ドライバーがマスク姿で登場し、あらかじめ録音された質問に答えるという、数か月前には想像もできなかった光景が見られた。

 史上最多記録に並ぶ通算7度目の世界選手権制覇を目指しているメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は、隔離された環境に慣れてきたといい、これまで目にしてきたことに「感銘を受けた」とすると、「仕事をする上で良い環境だ」と称賛した。(c)AFP/Raphaëlle PELTIER