【7月3日 AFP】米連邦議会は2日、香港の自治侵害に関与した中国当局者や彼らと取引のある金融機関に厳しい制裁を科す「香港自治法案(Hong Kong Autonomy Act)」を可決した。「香港国家安全維持法」の施行を受け、米国は中国への圧力を強めている。

 中国政府は、米国が制裁法案を成立させれば「強力な対抗措置」を取ると警告している。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は同法案への署名について態度を明らかにしていないが、共和党筋は法案成立に自信を見せ、仮にトランプ氏が拒否権を行使しても議会で覆せるとの見通しを示した。

 超党派の法案を主導したクリス・バンホーレン(Chris Van Hollen)上院議員(民主党)は、上院議場で「香港の自由が弾圧されるのを、じっとして黙ったまま何もせずにいるわけにはいかない」と述べた。

 法案は先週上院で可決された後に下院で修正が行われ、再可決の手続きが取られた。

「香港自治法案」は、香港の警察当局のほか中国の当局者も制裁対象とし、香港の自由を制限するため活動したと米政府の報告書で2回連続で指摘された場合、制裁措置を科すことが米政府に義務付けられている。

 対中圧力として大きいのは、香港の自治を侵害した個人・法人と「多額の取引」のある金融機関を制裁対象としている点で、米機関からの融資の凍結などの罰則が科される。

 米国務省が90日以内に香港の自由を侵害した個人・法人を指定し、金融機関には指定された相手との関係遮断に1年間の猶予が与えられる。

 米議会では、超党派の取り組みで香港市民の亡命を受け入れる準備も進んでいる。亡命キューバ人と同様に、香港市民を優先的に難民認定し、受け入れ人数にも上限を設けない法案が検討されている。(c)AFP/Shaun TANDON