【7月3日 AFP】米税関・国境警備局(CBP)は2日、米メキシコ国境で人工知能(AI)を利用した無人監視システムの利用を拡大すると発表した。このためにシリコンバレー(Silicon Valley)のスタートアップ企業と契約したという。

 CBPは、約3200キロの米メキシコ国境に沿って鋼鉄の壁を建設するというドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が推進し議論を呼んでいる計画を所管している。しかしこれまでに造られたのは320キロほどで、そのほとんどが既存の障壁を更新したもの。計画と実態のギャップを埋めるため、CBPはハイテク監視システムに目を向けた。

 CBPは自律的監視塔を4基設置して2年間試験運用し、2022年までに200基を設置する計画。監視塔は太陽光でエネルギーをまかない、国境付近を監視する。動くものを見つけた場合、AIを利用したソフトウエアでそれが車なのか、人間なのか、動物なのかを識別し、対応が必要と判断したら国境警備隊員に通知する。

 報道によると、CBPはシリコンバレーのスタートアップ企業、アンドゥリル・インダストリーズ(Anduril Industries)と5年間の契約を結んだ。同社が米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に明らかにしたところによると、契約金額は数億ドル(数百億円)。200億ドル(約2兆1000億円)を超えるとみられているトランプ氏の壁の建設費用と比べると微々たる額だ。

 国境の壁に反対している民主党はテクノロジーを使った国境監視システムを推していたが、CBPの統計によると、これまでに壁が建設された場所では不法入国者が大幅に減った所もある。今年3月から5月の間に合法的な入国書類を持たずに国境を越えようとして拘束された人は、前年同期比80%減の7万5000人足らずだった。(c)AFP