【7月19日 AFP】新型コロナウイルス時代には、どうやってダンスを創作すればよいのだろう。ダンサーは互いに触れることができず、互いに1、2メートル離れていなければならない。世界中の振付師は今、安全とソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を守りながら、心を躍らせる作品を生み出す課題に取り組んでいる。

 理解し難いかもしれないが、この制限の厳しさで自由になった人々もいる。新型ウイルスがもたらした新たな禁止事項と、パーソナルスペース(他者との距離)にまつわる劇的な緊張感を利用できるからだ。

 独ハンブルク・バレエ(Hamburg Ballet)の芸術監督で、同国の優れた振付師ジョン・ノイマイヤー(John Neumeier)氏はAFPの取材に答え、「自発性が解き放たれた」と語る。

「私たちは、互いに自由に触れるバレエの表現方法に慣れ切っている」と同氏。「触れるのが当たり前のこととして見なしていることがある。パ・ド・ドゥ(pas de deux、男女2人の踊り)やリフト(持ち上げる)のとき、皆、どこかしらに触れるからだ。だが今は人に触れることができず、距離がある。そのことで新たな緊張感が生まれている」

 ノイマイヤー氏は新型ウイルス対策による制限で、新作「ゴースト・ライト(Ghost Light)」では「ソリストの芸に力を注ぐ」ことを余儀なくされた。同作は、新型ウイルスの感染状況が落ち着いてきたら9月6日に初演の予定だ。

 ノイマイヤー氏は57人のダンサーを採用しているが、今のところ全員を同時に集めることはできない。「モザイクのよう」に「まず6人のダンサーで稽古し、次に8人、そして2人…だが全員集まったたらどんなふうになるか分からない」と話す。