【7月2日 AFP】オーストラリアの先住民アボリジニの遺物が、同国沿岸の海底から初めて見つかった。考古学者チームが2日、発表した。最終氷期以降に水没した古代集落の発見に道を開く成果だという。

 米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載された論文によると、豪ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州の遠隔地の沿岸水深約2メートルの海底で、7000年以上前にアボリジニの人々が作製した古代の石器が数百個発見されたという。

 近くで見つかった別の発掘現場では、8500年以上前にさかのぼる人的活動の痕跡が水深14メートルの海底で確認された。どちらの現場についても、さらに古い時代のものである可能性があると研究チームは考えている。

 考古学者らは今回の成果について、海底に水没した数多くの集落跡のさらなる発見につながる第一歩だとして期待を膨らませている。見つかった集落跡は、最終氷期以降の1万8000~8000年前に水没したと考えられるという。

 論文の共同執筆者の一人で、豪フリンダース大学(Flinders University)のジョナサン・ベンジャミン(Jonathan Benjamin)准教授は、過去の海面上昇により、広大な豪大陸の30%以上が水没していると話す。

 また、豪ジェームズクック大学(James Cook University)のショーン・ウルム(Sean Ulm)教授によると、海底のどの場所を探索するべきかを決めるために、研究では地質図と陸上の遺跡を調べたという。

 今回、複数の潜水調査チームがウエスタンオーストラリア州ピルバラ(Pilbara)地区のダンピア(Dampier)諸島にあるブリュギエール岬(Cape Bruguieres)の水深約2.4メートル付近を調べ、269の遺物を特定することができた。また、すぐ近くにあるフライングフォーム海峡(Flying Foam Passage)の発掘現場からは淡水泉が見つかっている。

 映像はDHSCプロジェクト(DHSC Project)およびフリンダース大学海洋考古学プログラム提供。(c)AFP