【7月3日 AFP】(写真追加)長年にわたってコーチから暴行や暴言を受け、スポーツ当局に告発するも見過ごされたと伝えられる韓国の女子トライアスロン選手が自殺したと、同国メディアが報じた。

 2015年に台湾・台北で行われたASTCアジアトライアスロン選手権(2015 New Taipei ASTC Triathlon Asian Championshipp)のジュニア女子部門で銅メダルを獲得したチェ・スクヒョン(Suk-Hyeon Choi)選手(22)は前月、釜山(Busan)にあるチーム宿舎で自ら命を絶ったという。

 チェ選手と母親の最後のやり取りを映したスクリーンショットが広く拡散されており、その中で同選手は暴行を加えた人の「罪を暴く」よう求めていた。

 アジアのスポーツ強豪国として知られる韓国は、夏季と冬季の五輪では獲得メダル数で定期的にトップ10入りを果たしている。しかしすでに激しい競争社会の中では、スポーツの世界でも勝利こそがすべてであるに等しく、暴行や暴言が広まっているといわれている。

 チェ選手は2016年の国内選手権エリート女子の部で4位に入ったが、昨年の同じ大会では期待に応えられず14位に終わっていた。

 韓国の複数メディアによれば、チェ選手は暴行に関する録音を集めていたという。

 同国のニュース専門局「YTN」が放送したある記録の中で、コーチはチェ選手の体重が増えたことに激怒し「3日間何も食うな」「責任を取ると約束したよな」と発しており、「歯を食いしばれ」と言った後には平手打ちする音も収録されていた。

 また、チームスタッフは体重管理に失敗した罰として、チェ選手に20万ウォン(約1万8000円)相当のパンを強制的に食べさせ、同選手は習慣的に殴打されていたと伝えられている。

 チェ選手は4月、調査を求めて大韓体育会(KSOC)に申告していたが、関係者が聯合(Yonhap)ニュースに明かしたところによれば、同選手は「多くの公的機関に助けを求めたが、すべてが彼女の申し立てを無視した」という。

 申し立てを見過ごしたという事実を否定した大韓体育会は、4月上旬にチェ選手から申し立てを受けた後、女性の調査員を任命していたと発表文の中で明かした。(c)AFP