【7月2日 AFP】マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は1日、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領に対し、イスタンブールにあるアヤソフィア(Hagia Sophia)博物館をモスク(イスラム礼拝所)に戻さないよう要請し、かつてはキリスト教の大聖堂だったこの歴史的建造物をすべての人に開かれたままにすべきだと述べた。

 イスラムの伝統を重んじる公正発展党(AKP)を率いるエルドアン氏がアヤソフィア博物館をモスクに戻すことを検討しており、これが隣国ギリシャとの間に緊張を招いている。

 この大建造物は6世紀のビザンツ(Byzantine)帝国時代にキリスト教の大聖堂として建てられたが、オスマン(Ottoman)帝国の征服後はモスクに転用され、現在は博物館とされている。

 ポンペオ氏が今回要請したのは、トルコの裁判所がアヤソフィアは合法的に博物館に転用されたのか否かを判断する予定日の前日だった。

 ポンペオ氏は「われわれはトルコ政府に対し、トルコ共和国に寄与した信仰の伝統と多様性の歴史を尊重することに同博物館が深く関わってきたことの例として、アヤソフィアを博物館として維持し、今後もすべての人を受け入れるようにすることを要請する」と発表した。

 また、アヤソフィア博物館の役割が変えられることについては、「この優れた建造物の遺産と、信仰の伝統と文化が異なる人々の間にかかる人類待望の橋としての役割を果たす、現在世界では希少な卓越した力を傷つけることになる」との見解を示した。

 トルコ側は、ポンペオ氏の発言に「仰天した」とコメント。

 トルコ外務省のハミ・アクソイ(Hami Aksoy)報道官は「誰しも意見を述べることは自由だ」とするも「同時に、われわれの主権について警告する形で話す権利は誰にもない」と述べた。(c)AFP