【7月1日 AFP】中国が先月30日に施行した国家安全維持法は、香港に対する先例のない司法権を中国政府に与えるものとなっており、事案への管轄権の行使や陪審抜きの非公開裁判、治安機関の設置などを盛り込んでいる。

 国家安全維持法は香港のミニ憲法で保障されている法制度の独立をめぐり重大な疑問をもたらすものであり、人口750万人の香港の市民生活に広範囲にわたる影響を及ぼすことになる。

 同法について、知っておくべき5点をまとめた。

■最高刑は終身刑

 同法では犯罪として、国家の分裂、政権の転覆、テロ活動、国家の安全を危険にさらすための外国勢力との結託の4種類を規定している。4種類すべてにおいて、最高で終身刑が科される。

 外国勢力との結託に関わる犯罪行為には、香港あるいは中国政府に対する香港市民の憎悪の扇動、選挙の操作または妨害、香港または中国に対する制裁措置などがある。

 また、公共交通機関および特定の公共施設の破壊はテロに分類される。

 国家の分裂を目的とした活動の企てや、そういった活動への参加は、暴力の使用、不使用にかかわらず犯罪行為となる。

 有罪判決を受けた者は、香港のいかなる選挙への立候補も禁じられる。

■「非常に重大」な犯罪に対する中国の管轄権

 同法の可決に先立ち、香港の独立した司法制度が崩壊するのではないかとの恐れが広がった。

 同法によれば、外国が介入する複雑な事件、「非常に重大」な事件、国の安全が「重大かつ現実的な脅威」に直面する事件に対して、中国は逮捕から裁判に至るまで全面的な訴追手続きを引き受けることができる。

 同法は「治安機関および香港の両者は、中国本土に事件の引き継ぎを要請できる」としている。

 中国の不透明な司法制度では、刑事事件の有罪率は通常は99%を超えている。