【7月1日 AFP】パキスタン南部カラチ(Karachi)の証券取引所が6月29日に襲撃された事件で、犯行声明を発表した分離独立派の武装組織「バルチ解放軍(BLA)」は、襲撃では「中国の利権」も標的にしたと明かした。

 当局によると、武装した襲撃犯4人は午前10時(日本時間午後2時)ごろにパキスタン証券取引所(PSX)の入り口ゲートに車で乗り付け、手投げ弾を投げた後に自動小銃で発砲した。

 カラチ警察は、4人が証券所を襲撃しようとしたものの銃撃戦によって殺害され、警備員3人と警官1人も死亡したと発表した。

 バルチ解放軍はAFPに宛てた電子メールで犯行を認め、今回の襲撃は「パキスタン経済」だけでなく「バルチスタン(Balochistan)州における中国の搾取的な計画を受けて、中国の経済的な利権」も攻撃対象としたと明かした。

 同国南西部を占め、国内4州のうち最大の州であるバルチスタンで活動を展開するバルチ解放軍は長らく、中国が同州で略奪を繰り広げていると非難してきた。

 バルチ解放軍によると、中国の支援を受けるプロジェクトがバルチスタンで鉱物や炭化水素といった資源を不当に搾取しているという。

 貧困にあえぐパキスタンは、540億ドル(約5兆8000億円)規模のインフラ整備事業「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」などの下、中国政府からの投資とローンを繰り返し頼っていると伝えられている。欧米諸国からは、このインフラ事業が長期的には中国の膨大な利益になるとの批判が上がっている。

 バルチ解放軍は近年、インフラ事業やパキスタンに駐在する中国人労働者を標的とした攻撃を多数行っている。2018年にはカラチにある中国領事館を襲撃し、4人を殺害した。(c)AFP/Ashraf KHAN