【6月30日 AFP】ベルギーのフィリップ国王(King Philippe)は30日、自国によるコンゴ民主共和国の植民地支配がもたらした被害について、ベルギー国王として初めて「遺憾の極み」との思いを表明した。

 フィリップ国王は、コンゴの独立60周年を記念して同国のフェリックス・チセケディ(Felix Tshisekedi)大統領に送った書簡の中で「過去の傷について、遺憾の極みと伝えたい。その傷の痛みは今日、私たちの社会に依然存在する差別によって呼び覚まされている」と記した。

 米国でアフリカ系のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官の拘束下で死亡した事件を受けて、ベルギーでも過去の植民地支配をめぐる議論が活発になっている。

 歴史学者らによると、現在のコンゴ民主共和国に当たる地域で、ベルギーのレオポルド2世(King Leopold II、1865~1909年在位)が所有していたゴム園の労働者数百万人が、殺害されたり体を切断されたり、病気で亡くなったりしたという。

 フィリップ国王はレオポルド2世の名には触れなかったものの、当時「暴力的で残虐な行為があり、それが私たちの共通の記憶に重くのしかかっている」と述べ、「それに続く植民地時代(1908~60年)も、苦痛と屈辱をもたらした」と認めた。

 フィリップ国王はあらゆる形態の人種差別に立ち向かっていくと表明し、植民地支配の記憶が静まるよう、ベルギー議会が提起したこの問題に対して反省を促していきたいと語った。

 ベルギーではここ数週間、レオポルド2世の複数の像が反人種差別抗議デモの参加者によってペンキをかけられたり倒されたりしており、像の撤去を求める請願運動も始まっている。(c)AFP