【6月30日 AFP】オーストラリア政府は30日、同国に対するサイバー攻撃が多発している事態を受け、向こう10年間のサイバーセキュリティー関連支出を約10%増額し、13億5000万豪ドル(約1000億円)を追加すると発表した。

 サイバーセキュリティー関連予算の引き上げ幅としては過去最大で、政府の通信情報機関であるオーストラリア信号局(Australian Signals Directorate)要員の新規採用などに費やされる。これにより向こう10年間のサイバー防衛関連予算は全体で計150億豪ドル(約1兆1000億円)に上る見通し。

 スコット・モリソン(Scott Morrison)豪首相は数日前、中国が関与したとみられる国家ぐるみのサイバー攻撃を繰り返し受けていると明かしたばかり。

 モリソン氏は今月初めにもオーストラリアの政府機関、公共サービス、企業などが、「国家ベース」の攻撃主体の標的にされていると述べていた。

 オーストラリアでは昨年も議会、政党、大学に対する外国が関与したサイバー攻撃が確認されたが、今回も前回同様、中国の関与が疑われている。

 モリソン氏は30日、オーストラリアに対する悪意あるサイバー攻撃は、頻度、規模、洗練度の全てが増していると語った。

 中国政府は、豪政府が中国共産党の利益に反する主張を行うことに対する代償を払わせようとして、豪政府と何度も衝突を繰り返しているが、公的にはサイバー攻撃への関与は否定している。(c)AFP