【6月30日 AFP】インドは29日、国家安全保障上の懸念と個人情報保護の観点から59の中国製モバイルアプリの使用を禁止すると発表した。非常に人気の高い動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」やメッセージアプリ「微信(WeChat、ウィーチャット)」などが禁止されるという。インド軍は2週間前、ヒマラヤ(Himalaya)国境地帯で中国軍と衝突し、多数の死者を出していた。

 インド電子・情報技術省は、中国製アプリが「インドの主権と保全、防衛、国家安全、社会秩序を損なう活動」に関係していると述べ、インドのサイバー空間における安全と主権を守るために「政府が特定のアプリの使用禁止を決定した」と表明した。

 電子・情報技術省の発表によると、この決定以前に、ユーザー情報の窃盗やプライバシー侵害に関する複数の苦情が同省に寄せられていたという。

 アプリ使用禁止の規則がいつ施行されるのかは分かっていない。

 禁止されるアプリのほとんどが、インドで広く利用されている。例えば、中国のバイトダンス(ByteDance、字節跳動)が運営するティックトックやソーシャルメディアアプリ「ヘロー(Helo)」、データ共有アプリ「シェアイット(SHAREit、茄子快伝)」、電子商取引大手アリババ(Alibaba、阿里巴巴)グループのモバイルブラウザ「UCブラウザ(UC Browser)」や「UCニュース(UC News)」のユーザー総数は5億人を超える。

 人口約13億人のインドにおけるティックトック利用者は推定1億2000万人に上り、ティックトックにとって最大の国際市場となっている。

 禁止対象となったその他のアプリには、中国版ツイッター(Twitter)の「ウェイボー(Weibo、微博)」やゲームアプリの「クラッシュオブキングス(Clash of Kings)」がある。(c)AFP/Jalees ANDRABI