【6月30日 AFP】(更新、写真追加)香港の複数のメディアによると、中国の全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)常務委員会は30日午前、香港国家安全維持法案を全会一致で可決した。中国当局による香港への統制が強化される恐れがある。

 地元メディアのナウテレビ(Now TV)、公共放送RTHK、英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が報じたほか、親中派政党の民主建港協進連盟(DAB)は法案可決を歓迎する声明を発表した。

 香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は30日の定例記者会見で、「この時点で国家安全法に関する質問に答えるのは適切でないと思う」と述べ、可決についての言及を避けた。

 香港の民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏はツイッター(Twitter)への投稿で、「世界がこれまで知っていた香港の終わりを意味するもの。権限の拡大と不明瞭な法により、香港は秘密警察国家へと変わる」と非難した。

 香港は「一国二制度」により高度の自治や司法の独立が約束されており、また中国本土では見られない政治的な自由によって世界的なビジネスの中心地へと変貌を遂げた。

 専門家らは、中国当局が「一国二制度」を徐々に形骸化しており、国家安全法の導入はこれまでで最も傲慢(ごうまん)な対応であると批判している。(c)AFP