【6月30日 AFP】中国当局による香港への国家安全法導入を批判する米政府は30日、中国への圧力を強めるため、香港への武器の輸出を停止した。

 中国で間もなく可決が見込まれる国家安全法については、香港の高度な自治を破壊するものだとして同地の民主派などが反対しており、米国は国家安全法に対する国際社会の批判の先頭に立っている。

 その香港国家安全法をめぐり、米中政府はここへ来て対抗措置の応酬を繰り広げている。26日には米国側が中国当局者へのビザ(査証)発給を制限すると発表。これに対し、中国側も29日、米国人に対するビザ発給を制限すると発表したばかり。今回の米国による香港への武器輸出停止はさらにそれに対する報復措置となる。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は、「われわれはもはや統制品目の輸出を香港と中国本土で区別することはできない」と説明。さらに輸出した武器が「CCP(中国共産党)の独裁体制を是が非でも維持することを第一の目的としている中国人民解放軍(People's Liberation Army)の手に落ちる危険は冒せない」と述べた。

 ただし、米国による香港への武器輸出の停止が直接及ぼす影響は軽微だろう。公式統計によると米国務省は昨年、香港に対する240万ドル(約2億6000万円)規模の防衛関連輸出を承認したが、実際に輸出されたのはうち140万ドル(約1億5000万円)相当にとどまっている。この中には警察向けの銃器や弾薬などが含まれているという。

 今回の措置に合わせ、米商務省も香港に認めてきた特別な地位を取り消し、中国本土への輸出と同じ扱いにすると発表した。中国本土と同じ扱いとなった場合、香港への輸出も軍民両用のいわゆる「デュアルユース(二重用途)品目」として扱われ、厳しく制限される。(c)AFP/Shaun Tandon with Laurie Chen in Beijin