■「偉大」な女性、「革命」呼び掛け物議も…

 アッサさんの兄ラッサナ(Lassana Traore)さんによると、アッサさんは弟アダマさんの死後「自然に」遺族を代表して発言するようになった。「息子を亡くした母親に少し似ている」とラッサナさんは昨年、AFPに語っていた。きょうだいの父親は1999年に他界したが、以降はアッサさんが「弟たちの面倒を見て、家族を抱き締めてきた」という。

 父親はマリ出身で、4人の妻との間に17人の子どもをもうけた。妻は2人が白人、残る2人が黒人で、アッサさんは「あらゆる人種と宗教が交ざった」家族だと述べている。

 27日のAFPの取材に対し「弟の名において、私に変えることができる何もかもを変えていく」と抱負を口にしたアッサさん。一方で、「革命」を呼び掛け、物議を醸してもいる。

 2018年にエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の政策に抗議する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動のデモが起きた際、仏紙フィガロ(Le Figaro)はアッサさんが、「アフリカでは人々が大統領を失脚させる。民衆が宮殿の中に入っていく。アフリカでそうしたことが起こるのだから、フランスで起きてはいけない理由はない。私たちには用意ができている。美しい革命を実行できる」と発言したと伝えた。

 ある警察高官はアッサさんについて、「カリスマ的な旗手を欠いた反体制運動を巧妙に体現している」と評価。「彼女は偉大だ。しかし、事実は残酷だ」と述べた。

 2016年以降、トラオレ家のきょうだい4人がアダマさんの死をきっかけに起きた暴動や無関係の犯罪容疑で逮捕・収監されている。アッサさんは、4人とも「政治犯」だと主張。「トラオレ家は警察によっていつの間にか戦士にされてしまった」と訴えている。(c)AFP/Tiphaine LE LIBOUX