【6月29日 AFP】内戦で荒廃したシリアで27日未明、夜空に瞬く天の川銀河(銀河系、Milky Way)が廃虚を不気味に照らし出した。

 シリアの反体制派最後の要衝、北西部イドリブ(Idlib)県アリハ(Ariha)で、AFPカメラマンが月のない夜、長時間露光でいつになく澄んだ空を撮影した写真には、地上の無残な廃虚と天の川銀河の鮮明なコントラストが捉えられている。

 ロシアの支援を受ける政府軍が昨年12月から今年3月にかけて行った攻撃によって、アリハをはじめシリア北西部の町々は荒廃し、100万人近くが家を追われた。3月6日に始まった停戦で戦闘は大幅に減少したが、ロシアは今月空爆を再開し、空爆の強化に警戒感が強まっている。国連(UN)の推計によると、家を追われた100万人近い人々のうち、約78万人が今もなお避難生活を送っている。

 政府軍が最近、攻撃を行う前までアリハにはおよそ7万人が暮らしていたが、今はほぼ無人状態となっている。通りのあちこちには、これまでの一連の空爆により損傷した建物の残骸が点在している。地上には歩く人が手にする携帯電話の放つほのかな光以外、明かりはほとんどない。

 イドリブ県では人口300万人の半数近くが、政府軍の支配下に置かれたシリアの他の地域から避難してきた。(c)AFP