【6月28日 AFP】(更新)米下院は26日、首都ワシントン(コロンビア特別区)を同国51番目の州にする歴史的法案を採決し、賛成多数で可決した。民主党議員は1人を除いて全員賛成し、投票した共和党議員は全員反対した。

 民主党支持層が多いワシントンは人口70万5000人以上を有し、その数はワイオミング州やバーモント州より多く、他の2州にも匹敵する。

 米議会が1790年にワシントンを同国の恒久的な首都にすると定めて以来、ワシントンの住民は連邦議会に議員を送れない状態が続いている。 黒人が人口の約半数を占める同市の市民権問題も長年解決されないままだ。民主党議員らは、法案はこれらの問題への遅すぎた救済措置だとしている。

 州になれば、初代大統領のジョージ・ワシントン(George Washington)と奴隷制廃止運動に尽力した黒人運動家のフレデリック・ダグラス(Frederick Douglass)の名を取って「ワシントン・ダグラス州(Washington, Douglass Commonwealth)」という名称になるという。

 ワシントンに州の地位を与える法案が議会で採決されたのは1993年以来のこと。今回より前にこのような法案が下院や上院で可決されたことは一度もなかった。

 この取り組みに反対する共和党議員らは、どの州にも影響されない特別な連邦区をつくることを目指した憲法起草者の意図に反すると指摘している。

 米憲法は、連邦議会に「すべての場合において」ワシントンの行政を統制する権利を認めていることから、ワシントン当局は地元の問題に議会が果たす役割に長年不満を抱いてきた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は今月、ホワイトハウス(White House)付近で行われた抗議デモに対応させるため、ワシントンのミュリエル・バウザー(Muriel Bowser)市長と調整しないまま連邦軍を送った。これも連邦によるワシントンへの歓迎されない介入の例だ。

 ワシントンに州の地位を与えることにはトランプ氏が反対しており、上院で多数を占める共和党も法案を採決しないとしているため、今回実現する可能性はほぼない。(c)AFP/Michael Mathes