【6月27日 AFP】インドネシア・スマトラ(Sumatra)島沖で立ち往生していた100人近いイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が25日、海岸へと無事たどり着いたのは、新型コロナウイルスを懸念して収容を拒否する当局の判断に憤慨した地元住民の力添えによるものだった。

 ミャンマーで迫害を受けて逃れて来た、子ども30人を含むロヒンギャ難民94人前後は今週、壊れかけた木造船から漁師たちによって助け出された。だがその後、スマトラ島最北端に位置するアチェ(Aceh)州の管海官庁が介入。同島北部沿岸に位置するロスマウェ(Lhokseumawe)市当局は、新型ウイルスへの懸念からロヒンギャの人々の上陸を拒否したという。

 その対応に憤った地元の人々は25日、自分たちで何とかしようと船に乗り込み、ロヒンギャの人々を上陸させた。現場にいたAFP記者によると、海岸に集まった住民たちからは声援が上がったという。

「全くの人道的な理由からだ」と、漁師の一人は動機を説明。「子どもたちや、おなかの大きい女性たちが海上に取り残されている様子を目にしてつらかった」と話した。

 地元の警察トップは25日、ロヒンギャの人々を仮設の避難所に移送するのではなく、海上へ戻したいとしていたが、当局は住民らの意向を受けて態度を軟化させたとみられ、現在は人々を一時的に民間住宅に収容している。

 アチェ州の救急当局によれば、ロヒンギャの人々が新型ウイルスに感染していないか、医療従事者が検査を行うことになっている。(c)AFP