【6月27日 Xinhua News】中国内陸部を走る武陵山脈の奥深くにある湖南省(Hunan)張家界市(Zhangjiajie)桑植県は、ささの葉の産地として知られる。主に標高800メートル以上の高地で26万ムー(約1万7千ヘクタール)にわたってささが自生しており、湿った空気と豊かな水源、朝晩の気温差が理想的な生育環境となっている。

 同県からは、独特のすがすがしい香りを持つ新鮮なささの葉が毎年大量に日本の上越地方に輸出されている。すしや団子などの食品用天然包装材としてのほか、日本料理店や焼き肉屋で皿代わりとしても使われ、料理に趣を添えている。

 この地域の経済発展と交通インフラの整備に伴い、ますます多くの海外企業が、特産のささの葉に注目するようになっている。大阪市に本社を置く舟山株式会社の呉栄慶(Wu Rongqing)社長は、早くから同県産のささの葉に注目してきた。2016年から加工メーカーの張家界康華実業と良好な提携関係を構築し、同県産のささの葉を買い付けている。

 中日貿易に携わって30年になる呉氏は「日本の消費者は、ささの葉の色や大きさに対する要求が独特で、青々とした、中くらいから小さめの、柔らかくて薄いものが人気だ。日本の検査基準は大変厳しく、食べ物を包む材料も食品と同じ基準で検査をすることも多い」と話す。同県産は品質の面で安心でき、同社はここ数年、400万枚を詰めたコンテナを年間2~3個輸入しているという。

 張家界康華実業の彭春華(Peng Chunhua)総経理によると、同社は米国、日本、シンガポールや中国の香港・マカオ・台湾地区と取引があり、19年の売り上げ実績は1億5千万元(1元=約15円)を記録した。

 彭氏によると、同社はこの3年間に研究開発費として260万元を投入。大学の研究機関と提携して、優良品種の育苗やささ工芸品の加工・制作の研究、専用のスマート選別機の開発を進めてきたほか、高付加価値加工品の可能性を模索し、ささの葉のエッセンスや飲料、スキンケア用品なども試作しているという。(c)Xinhua News/AFPBB News