【6月26日 AFP】3月上旬に観光客の新型コロナウイルス感染が発覚したオーストリアのスキーリゾート地イシュグル(Ischgl)で、地元住民の42.4%が新型ウイルスの抗体を保有していることが確認されたと、研究チームが25日に発表した。

 イシュグルなどオーストリア西部チロル(Tyrol)州にある複数のアルプス(Alps)のスキーリゾートではこの春、観光客数千人が新型ウイルスに感染。ドイツや米国、シンガポール、香港など世界各地にウイルスが拡散する結果となった。

 インスブルック医科大学(Medical University of Innsbruck)は4月21日〜27日、イシュグルの人口の79%に当たる約480世帯の大人1259人と子ども214人を対象に検査を実施。その結果、イシュグルの全人口の42.4%が新型ウイルスの抗体を持っていることが分かったという。

 研究を率いたドロティ・フォンラール(Dorothee von Laer)氏は「イシュグルでは、これまで研究で明らかになった中で最も高い血清陽性率が確認された」と指摘。「イシュグルの住民が集団免疫を獲得したと結論付けるまではできなくとも、人口の大部分は(新型ウイルスに対する)防御力を持っているはずだ」と述べた。

 フォンラール氏によると、抗体保有者のうち新型コロナ陽性の診断を受けていたのはわずか15%で、「85%は自分が感染したと気づいていなかった」。そのうち約半数は、非常に軽症だったため風邪を引いただけと考えていたという。(c)AFP