■衛生効果は保証されない

 だが、プラスチックの衛生効果が保証されているわけではない。世界保健機関(WHO)は、手袋着用よりも手洗いが効果的だとしている。

 米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(NEJM)」に掲載された研究論文によると、新型コロナウイルスはプラスチック上では最長3日間、段ボールの上では24時間生存できる。

 仏環境・エネルギー管理庁のラファエル・ガスタビ(Raphael Guastavi)氏は「医療用途では、使い捨てに勝るものはない」と言う。だが、消費者にとっては、再利用可能な包装でも「衛生上問題はない」とし、それに異を唱えているのはただの「ロビー活動だ」と述べた。

■増えるごみ

 香港やパレスチナ自治区ガザ(Gaza)など世界各地の道路や海岸にマスクや手袋が散乱している。

 国際再生資源連盟(Bureau of International Recycling)のアルノー・ブルネ(Arnaud Brunet)氏は、「マスクのリサイクルは容易ではない。当局はマスクを家庭ごみとして焼却するのが一般的な方法だとしているが、われわれもそれが最善策だと考えている」と語った。

 プラスチックの年間生産量は約3億5000万トンで、その半数をアジア、19%を北米、16%を欧州が占めている。

 プラスチックの総生産量は緩やかではあるが一定のペースで増えている。需要としては、個人用防護装備が急増しているが、総量は自動車や建設部門に比べるとそれほど多くはない。

 新型コロナウイルスの閉じこもり生活で経済が低迷した影響で、プラスチック業界は2008年以降初めて、前年比で業績が悪化することは確実視されている。(c)AFP/Catherine Hours and Simon Boehm