【6月26日 AFP】インド政府は25日、今月に国境付近で発生し、死者が出た中国軍との衝突後、ヒマラヤ(Himalaya)地域にある係争地に両国が大部隊を展開していることを初めて認めた。

 インド外務省は、先に軍を展開して緊張を引き起こしたのは中国だと非難し、こう着状態が続けば両国関係が損なわれる恐れがあると警告した。

 両国とも係争地をめぐる緊張の緩和を望むと表明しているが、インド外務省のアヌラグ・スリバスタバ(Anurag Srivastava)報道官は、「軍事筋と外交筋による接触が続いているが、両国はこの地域に大部隊を展開したままだ」と述べた。

 スリバスタバ氏によると、石やこん棒が使われ、死者が出た今月の衝突の引き金となったのは、実効支配線上での「中国の行動」だという。同氏は、「問題の核心は、5月上旬以来、中国側が実効支配線沿いに大規模な軍備を集めていることだ」と非難した。

 また、衝突が起きたラダック(Ladakh)地方ガルワン(Galwan)渓谷にある境界線のインド側に、中国軍が「構造物」を建設したという。

 スリバスタバ氏は、「これまでも時折合意違反はあったが、今年の中国軍の行動は相互に合意したすべての規範を完全に無視している」と述べ、中国が部隊を増強したため、インド側は対抗しての軍の展開を余儀なくされたと主張した。

「国境地域の平和と安定は、2国間関係の基本だ」とスリバスタバ氏は述べ、中国に対して緊張緩和の約束を守るよう要請した。(c)AFP