【6月26日 Xinhua News】人体への毒性が強く、健康リスクが指摘される残留性有機汚染物質(POPs)が深刻な地球環境問題となる中、人体に良い影響を与えるとされる微生物のプロバイオティクスに水環境中の汚染物質の毒性作用を低減する効果があることが、中国科学院水生生物研究所の最新研究で分かった。

 同研究所の陳連国(Chen Lianguo)研究員率いる研究チームが、プロバイオティクスにペルフルオロブタンスルホン酸(PFBS)が引き起こす脂質代謝異常を調節する作用があることを突き止めた。実験では、メスのゼブラフィッシュにプロバイオティクスを配合した餌を与えたところ、脂肪酸の合成と分解(ベータ酸化)が著しく促進されたほか、PFBSによる血液中のコレステロールの蓄積も抑制された。オスのゼブラフィッシュを使った実験では、PFBSによる胆汁酸代謝の阻害を抑制する作用があることも分かった。

 陳氏によると、PFBSは新興の残留性有機汚染物質で、永続的に世代を超えて魚類の腸内微生物群集に干渉し、腸の健康と脂質代謝にダメージを与える恐れがある。「プロバイオティクスが水産養殖業や漁業資源、ヘルスケアなど幅広い分野で用いられるようになれば、どのくらい効果があったのか、データから利用価値が評価できるようになる。特に、環境汚染の深刻な地域でプロバイオティクスを利用する場合は、汚染物質による潜在的な影響を総合的に考える必要がある」と指摘した。

 研究成果は、湖北省生態環境庁の国際定期刊行物「環境科学と技術」に発表された。研究チームは、プロバイオティクスを用いて汚染物質の毒性作用を低減または阻害する方法について、引き続き研究を深めていきたいとしている。(c)Xinhua News/AFPBB News