【6月25日 AFP】タイのゾウ飼育施設で、観光業で使役される前に行われる調教の一環で、子ゾウが繰り返し棒で突かれて弱っている様子を捉えた動画が24日、公開された。動画を公表した動物愛護団体は、こうした慣例の廃止を訴えている。

 英国に拠点を置く動物保護団体「ワールド・アニマル・プロテクション(WAP)」が発表したこの動画は、昨年隠しカメラを使って撮影されたものとされる。

 WAPによると、映っているのは母親から無理やり引き離された2歳の雌のゾウで、狭いスペースに押し込められた子ゾウは、何日も鎖や縄でつながれ、逃げようともがいていたという。

 調教師は、子ゾウに基本的な指示を理解させるため、長い棒に金属のかぎが付いた「手かぎ」で繰り返し突き、子ゾウは時に出血を伴うこともある。

 WAPは、動画の撮影者らへの報復を懸念し、飼育施設のはっきりした所在地は明かしていない。

 タイの観光業界では、旅行客らを乗せたり、芸を見せたりするため、約3000頭のゾウが使役されている。動物愛護団体は以前から、観光業界でゾウが幼い時から始まる虐待に苦しみ続けると訴えてきた。

 WAPで野生動物を専門とする獣医師のヤン・シュミットブルバッハ(Jan Schmidt-Burbach)氏はAFPに対し、「商業観光のために使役されるのは、今の世代のゾウたちで最後にしなければならない」と語った。(c)AFP