【6月25日 AFP】500を超える政治指導者やノーベル賞(Nobel Prize)受賞者、人権団体が署名した書簡が25日に公開され、世界の一部政府が新型コロナウイルスの流行を「権力支配の強化」に利用し、民主主義や市民の自由をむしばんでいると警告した。

 スウェーデン首都ストックホルムを拠点とする民主主義・選挙支援国際研究所(IDEA)が主導した公開書簡には、マドレーン・オルブライト(Madeleine Albright)元米国務長官や俳優のリチャード・ギア(Richard Gere)さん、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者のイラン人権活動家シリン・エバディ(Shirin Ebadi)氏、レフ・ワレサ(Lech Walesa)元ポーランド大統領、ジョゼ・ラモス・ホルタ(Jose Ramos-Horta)元東ティモール大統領らの署名が寄せられた。

 市民の関心を高め、人々の結束を目的としたこの書簡は、進行中のコロナ流行は「民主主義に対する地球規模の手ごわい挑戦」であり、「民主主義が脅威にさらされている。それを気に掛ける人々は、民主主義を守るために意志や秩序、連帯を呼び起こさなければならない」と呼び掛けた。

 また、「至る所で人々の自由と健康、尊厳が危機にさらされている」と指摘した。

 IDEAのケビン・カサス・サモラ(Kevin Casas-Zamora)事務局長はAFPに対し、「パンデミック(世界的な大流行)がすでに多大なる経済的・社会的影響をもたらしているように、非常に深刻な政治的影響もすでに及ぼしている可能性が極めて高い」と述べた。

 カサス・サモラ氏は、ロックダウン(都市封鎖)などの厳格な措置を実施しながら自由を守る方法については、どの方策が最も効果的か見定めるのはまだ難しいと指摘。結局のところ、「正しい」方策があるかに固執するのではなく、方策を加減できるかが重要だと述べた。

 また、一部政府の行き過ぎた政策とは別に、もう一つの懸念点として、人々はコロナの恐怖にとらわれた際に政府の行き過ぎに「感覚がまひ」することがあると指摘した。(c)AFP